呼吸器外科学講座について
臨床診療面
臨床診療面では原発性肺がん、転移性肺がん、自然気胸、縦隔腫瘍、膿胸などの感染症、漏斗胸など呼吸器外科領域の疾患全般の診断、治療を担当しています。
治療内容は、胸腔鏡を用いた低侵襲手術、内視鏡下のレーザー治療、光線力学療法、ステント治療から、循環器外科グループと連携した大動脈合併切除や整形外科と連携した椎骨合併切除などの拡大手術まで幅広く行っています。
大学病院における全身麻酔下の手術件数は年間300例程度で、他院での手術指導・執刀も年間100例近く、呼吸器外科手術を行っています。
これらの手術に加え、年間150例を超える気管支鏡検査と外来診療を呼吸器外科チーム一同が一致団結して行っています。
地域医療への貢献としては、石川県能登地区、富山県の5病院に呼吸器外科外来を設置しています。特に能登地域では検診を受けない患者さんも多く、進行肺がんが多数発見されており、手術だけでなく肺がん発見に関する啓蒙活動も行っています。
研究面
研究面では、従来から
- 移植・呼吸器再建
- 腫瘍学
- 低侵襲手術
の3本柱で研究を行っています。
研究テーマ一覧に示すように多くの基礎研究と臨床研究を行っています。
臨床試験では、JCOG(Japan Clinical Oncology Group)、WJOG(West Japan Oncology Group)に参加し、多数の多施設共同研究に積極的に参加しています。
研究テーマ一覧
移植・呼吸器再建分野
- 胸部悪性腫瘍手術による気管欠損に対するグルタールアルデヒド固定心膜の自家・同種移植に関する基礎的研究
- 微弱磁場環境下における過冷却保存法を用いた新しいサブゼロ心肺保存法の研究
- 各種組織片による気管支断端被覆方法の検討
- 微弱磁場、不凍タンパクを用いた肺の低温保存の研究
腫瘍学分野
- 悪性胸膜中皮腫に対する新規強磁性体温熱療法とmTOR阻害剤の併用療法の開発
低侵襲手術分野
- 光線力学診断を利用した新しい術前肺マーキング法の開発
- 光線力学診断を利用した新しい肺区域同定法(経肺動脈)の開発
- 低線量X線動画イメージングによる肺機能診断法の創出と臨床応用
臨床研究
- 低侵襲・動的呼吸機能検査技術の開発とその評価
- ヒトゲノム・遺伝子解析JCOGバイオバンク・ジャパン連携バイオバンクへの試料の提供と将来の利用
- 「臨床病期I/II期非小細胞肺癌に対する選択的リンパ節郭清の治療的意義に関するランダム化比較試験(JCOG1413)」
- 「特発性肺線維症合併臨床病期I期非小細胞肺癌に対する肺縮小手術に関するランダム化比較第III相試験(JCOG1708)」
- 「高齢者肺癌手術例に対するADLの転帰を評価する前向き観察研(JCOD1701A)」
- 「特発性肺線維症(IPF)合併非小細胞肺癌に対する周術期ピルフェニドン療法の術後急性増悪抑制効果に関する第III相試験(NEJ034)」
- 「胸腺腫瘍の発生・進展に関与する遺伝子変異・多型・発現形式に関する研究」
- 「悪性胸膜中皮腫の前方視的データベース研究」
科学研究費補助金
- グルタールアルデヒド固定処理自家心膜導管を用いた生体内組織再生誘導型気管再建(基盤研究C:令和2-令和5年度)
- 低線量X線動画イメージングによる新しい肺機能診断法の創出と臨床応用(基盤研究C:平成31-令和3年度)
- ブタモデルにおけるビタミンB2ワンショット肺マーキング法の確立(若手研究B:平成31-令和2年度)
- 悪性胸膜中皮腫に対する新規強磁性体温熱療法とmTOR阻害剤の併用療法の開発(基盤研究C:平成28-30年度)
- 低線量X線動画イメージングによる肺機能診断法の開発(基盤研究C:平成28-令和2年度)
- 微弱磁場環境下・不凍物質添加低温保存肺の移植に関する研究(基盤研究C:平成27-29年度)
- ビタミンB2投与による肺動脈血流を利用した肺区域同定法の開発(若手研究B:平成27-28年度)
- X線動画イメージングによる胸郭・横隔膜運動ならびに肺機能評価の試み(新学術領域研究:平成27-平成29年度)
- 光線力学診断を利用した新しい肺マーキング法の開発及び臨床展開(若手研究B:平成25-26年度)
- 肺癌に対する体外肺切除における、気管支創傷治癒へのキトサンナノ繊維シートの効果(基盤研究C:平成24-26年度)
- 救急医療のためのポータブルX線機能イメージングシステム(診る聴診器)の開発(基盤研究C:平成24-27年度)
- 改良型キトサンナノ繊維管による胸腔内自律神経機能再生に関する実験的臨床的研究(基盤研究C:平成21-23年度)