呼吸器外科では胸部における心臓と大動脈以外の疾患すべてを治療対象としています。
具体的には肺、気管・気管支、胸膜、縦隔、胸壁、横隔膜といった臓器が対象です。
これらの臓器に発生した悪性、良性の腫瘍性疾患をはじめ、自然気胸、膿胸などの感染症、漏斗胸、先天性肺疾患、外傷など、幅広い呼吸器外科領域における疾患の診断、治療を担当しています。
当科のモットーとして、世界的視野にたった最先端の医療を追求し、それを患者さんの治療、地域医療に活かしています。また、Evidence-based medicine(EBM:最新の医学的、科学的な証拠に基づいて最良の医療・治療を選択し実践するための方法論)に基づいた医療を行いながらも、「自分や自分の家族に受けてもらいたい医療を行う」という心構えを持ち、患者さんひとりひとりの病態に即したヒューマニズムに基づいた診療を心がけています。当科では肺、縦隔、胸壁、気道に発生した悪性、良性の腫瘍性疾患をはじめ、自然気胸、膿胸などの感染症、漏斗胸など、幅広い呼吸器外科領域における疾患の診断、治療を担当しています。
全身麻酔下の手術件数は年間300例程度あり、その半数以上が原発性肺がんに対する手術です。毎週1回、放射線科、中央病理部および呼吸器内科の医師との4科合同カンファレンスを行い、患者さんひとりひとりの治療計画を綿密にたてています。 集学的治療が必要な疾患に対しては呼吸器内科および放射線科と連携をとりながら、化学療法や放射線療法を含めた複合的な治療を行い、疾患に合わせた最高水準の適切な治療を提供しています。
手術に関しては、肺の生検や気胸、縦隔腫瘍、肺良性腫瘍、原発性肺がん、転移性肺がんなどに対して積極的に胸腔鏡手術(VATS:Video Assisted Thoracic Surgery)やロボット手術を行い、患者さんの身体への負担を少なくするよう最大限努めています。最近では4cm未満の創一つで通常の手術を行ってしまう「単孔手術」も行っています。さらに胸腺腫などに対する両側同時進行胸腔鏡手術を開発し、より安全で確実に低侵襲手術を行っています。
進行原発性肺がんに対しては、必要に応じて胸腔鏡下あるいは縦隔鏡下にリンパ節の生検を施行し、検査結果に基づいた綿密な治療計画をたて、肺がん治療にあたっています。さらに、進行肺がんに対する集学的治療の一環として、患者さんの全身状態や病態を考慮した上で、拡大切除にも積極的に取り組んでいます。また中心型早期肺がんに対して、手術治療の他に、内視鏡的レーザー治療、気管支腔内照射、光線力学療法(PDT)による治療も行っています。さらに、気道狭窄に対しては症例に合わせレーザー治療、ステント治療を行っています。
2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
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原発性肺癌 | 167 | 158 | 156 | 183 | 196 |
転移性肺腫瘍 | 34 | 38 | 24 | 35 | 19 |
炎症性肺疾患・肺良性腫瘍 | 11 | 22 | 16 | 9 | 17 |
縦隔疾患 | 19 | 22 | 15 | 17 | 17 |
嚢胞性肺疾患 | 12 | 4 | 6 | 11 | 4 |
胸膜・胸壁疾患 | 4 | 3 | 4 | 6 | 3 |
膿胸 | 12 | 8 | 5 | 10 | 8 |
ステント留置 | 3 | 4 | 3 | 4 | 4 |
肺・リンパ節生検 | 9 | 11 | 11 | 11 | 12 |
その他 | 26 | 20 | 27 | 20 | 12 |
合計 | 297 | 290 | 267 | 306 | 282 |