肺の良性腫瘍には、過誤腫、硬化性血管腫、軟骨腫、脂肪腫、平滑筋腫などがあります。これらの良性腫瘍は、一般的に無症状で、大きくなる速度も遅く、ほかに転移することはありません。治療法は、無症状であれば経過観察となりますが、腫瘍による症状が出てきた場合または出てくることが予想された場合に手術が必要となります。
肺から発生した原発性肺がんと、他の臓器に発生した悪性腫瘍から転移した転移性肺がんがあります。原発性肺がんは大きく二つに分類され、非小細胞がん(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌など)と小細胞がんがあります。
肺の悪性腫瘍の大半は原発性肺がんですが、金沢大学病院では他領域でも多くの種類のがんを治療していますので、多くの転移性肺がんの手術を行っています。
2015~2019年の間に166例の転移性肺がん手術を行い、その内訳は、骨軟部腫瘍 27、消化器腫瘍 76、頭頚部腫瘍 20、泌尿器腫瘍 12、婦人科腫瘍 8、肺腫瘍 5、甲状腺 5、乳腺腫瘍 4、胸腺 5、皮膚 4などでした。
早期のものは無症状ですが、進行するとせきや血痰、息切れ、痛みなどの症状が出てきます。
治療法は進行度に応じて、手術(肺切除+リンパ節郭清)、抗がん剤治療、放射線治療のそれぞれを単独または組み合わせて治療を行います。
縦隔とは胸壁と胸膜の間の領域で、この縦隔に様々な種類の腫瘍が発生します。
前縦隔には胸腺腫瘍(胸腺腫、胸腺癌、良性腫瘍)、胸腔内甲状腺腫、奇形腫などの良性/悪性胚細胞腫などが、中縦隔には気管支原性嚢胞、心膜嚢胞などが、後縦隔には神経原性腫瘍などが発生します。また、縦隔にはリンパ腫が発生することもあります。
症状は腫瘍がかなり大きくなるまではでないため、検診などで発見されることがほとんどです。
治療法は原則として手術となります。また腫瘍の種類によっては抗がん剤などの薬物療法や放射線療法が必要となる場合があります。